一定台数の白ナンバー車両使用事業所であれば、業務前後に各ドライバーに対してアルコールチェックの実施が必要です。義務化されたのが2022年4月のため、就業規則に記載していないという企業様もいるでしょう。
就業規則に盛り込むメリットとは何でしょうか。この記事では、明記する際に行うべき準備や、手順などに関する予備知識を解説します。働きやすい環境作りにお役立てください。
1.まずはアルコールチェック義務化を正しく理解しよう
2.アルコールチェック義務化は就業規則への明記が必要?
3.就業規則とは
4.アルコールチェック義務化を就業規則に明記する前の準備
5.アルコール検知器には種類やタイプがある
6.アルコールチェック義務化を就業規則に明記する方法
7.「みんなのアルコールチェック」で義務化に対応しよう!
8.まとめ
業務上、自動車を一定台数使用している事業所には、アルコールチェックが義務付けられています。2022年4月以降は、運送業者でなくても適用対象となりました。そのため、就業規則の見直しが必要です。
就業規則の中にアルコールチェックに関する項目を明記する前に、義務化の内容を正しく理解しましょう。
2022年4月以前のアルコールチェック義務は、対象が運送業者のみでした。飲酒運転を原因とする痛ましい事故を根絶すべく、2021年に道路交通法施行規則が改正されています。
改正後、乗車定員11名以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車を5台以上使用している事業所も義務化の対象です。これまで対象外だった白ナンバー車両にまで拡大しています。
対象事業所では、安全運転管理者を選任しなくてはなりません。安全運転管理者が行う業務内容のひとつは、目視などによるアルコールチェックです。確認内容は毎回きちんと記録し、1年間保存する必要があります。
道路交通法施行規則の改正当初は、2022年10月より白ナンバー車両使用事業者も運送業者同様、アルコール検知器使用を義務化する予定でした。
供給状況などを考慮した結果、施行時期までに対象事業所全てが十分な数のアルコール検知器を入手するのが困難と認められたため、当分の間延期状態となっています。
警察庁の発表によると、アルコール検知器市場の供給状況が比較的安定してきた状況を受け、2023年12月よりアルコール検知器の使用義務化を施行する予定です。
2023年6月9日~7月8日までの間、道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案に関する意見の公募が行われました。現在、公募の受付は終了しており、近々結果が発表される予定です。
特段大きな状況の変化が見られなければ、アルコール検知器使用義務化に関する規定は適用しないとする暫定処置を、2023年12月1日以降廃止すると考えられています。
労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を雇う事業所では、就業規則を作成する必要があります。就業規則には、事業所ごとのルールが明記されており、雇用主と従業員が気持ち良く働くために必要です。
アルコールチェックに関しても、就業規則に明記する必要があります。どのようなメリットがあるのか、ポイントを押さえておきましょう。
就業規則へ明記することは、大切な情報を従業員へ通達する有用な手段です。アルコールチェック義務化について明記することで、必要不可欠な検査であるとの認識が高まります。
従業員の意識が向上するとアルコールチェックへの姿勢が積極的になるため、管理者の業務遂行がスムーズになるでしょう。
懲戒の種別や懲戒事由などを事前に就業規則で明記していない場合は、従業員に懲戒処分を科せられません。
就業規則に明記していれば、従業員がアルコールチェックを拒否したり、酒気帯びが発覚したりした場合に罰則規定の適用が可能です。従業員の権利を過度に制限するものでない罰則規定は、確実に業務を遂行してもらうための有効な手段とされています。
飲酒運転は、事業所およびドライバー当人に大きなリスクをもたらします。事業所は厳しい行政処分を受けなければならず、事業停止や信用失墜に加え、ひいては経営破綻にもなりかねません。
ドライバー当人は、免許取消しまたは免許停止などの行政処分に加え、懲役・罰金など重い罰則が科せられます。現在の職場を解雇させられるだけではなく、将来の就職が危ぶまれることは大きなリスクです。
そのようなリスクを就業規則から読み取ることができれば、事前に回避する助けになるでしょう。
就業規則の作成は、労働基準法できちんと定められています。しかし、大まかな社内のルールを知ってはいても、就業規則の細かな点に関しては分からない方も多いのではないでしょうか。
具体的にどのような役割があるのか、社内規則とはどのような違いがあるのかを解説します。安心して働くために予備知識を蓄えましょう。
大抵の事業所では、会社が安定した経営を継続するために必要なルールを記した社内規定が定められています。経営理念や組織のルールなどが主な項目で、基本的に会社側と従業員側に合意の必要はありません。
一方の就業規則は、就業全般に関するルールです。会社側と従業員側で結ばれる契約のような扱いのため、双方の周知および合意が必要とされています。常時10人以上の労働者がいる事業所では、就業規則の作成は義務です。
就業規則に明記されている一般的な項目には、従業員の賃金および労働時間などの労働条件・職場内の規律全般があります。他にも、解雇の事由を含む退職に関する事項も重要な項目です。
守秘義務の漏えいなど、自社にとって不利益となり得る事案に関するルールも記載します。企業に所属する上で守らなければならないルールの周知を徹底し、労使間のトラブルを防止するための大切な役割です。
就業規則は、どのようなタイミングで変更するのが望ましいのでしょうか。一般的な変更のタイミングは、下記のとおりです。自社の状況と照らし合わせて、適宜変更を検討できます。
【変更を検討できるタイミング】
・創業以来一度も変更していない場合
・労働時間/給与形態/休日などの労働条件を変更する場合
・福利厚生の制度や手当を新設および廃止する場合
・会社の実態に合っていないと認められる場合
・労働に関する法改正があった場合
アルコールチェック義務化に関する法改正を機に就業規則を変更する際は、雇用主と従業員双方の合意が必要なため、納得してもらえるようきちんと事前準備をしておかなければなりません。
さらに、行わなければならない準備内容は、道路交通法を順守するための必要事項でもあることも念頭に置きましょう。主な準備項目は3点です。
乗車定員11名以上の車1台、またはその他自動車を5台以上使用している事業所では、安全運転管理者の選任義務があります。
安全運転管理者は20歳以上で、自動車運転の管理に関して2年以上の実務経験を有する者でなければなりません。使用台数が20台以上の事業所では、副安全運転管理者の選任が必要です。その際は、年齢が30歳以上の安全運転管理者を選ぶ必要があります。
過去2年以内に都道府県公安委員会による解任命令を受けた、あるいは違反行為をしたなどの欠格事項に該当する場合は、選任できないため注意しましょう。
アルコールチェックの記録簿は、1年間の管理・保存が必要です。記録簿の様式や保存方法に細かな規定はありません。
紙媒体・パソコン・クラウドの管理方法、それぞれにメリット・デメリットがあります。例えば、手書きは手軽で便利と感じる人も多くいるものの、1年分となると大量の紙が保管できる場所を確保しなければなりません。
クラウド上でのデータ管理は、状況に合わせて管理しやすいためおすすめです。
近々アルコール検知器使用も義務化される予定です。スムーズな導入に向けて、十分余裕を持って準備しましょう。
アルコール検知の規定は、国家公安委員会が定めるものです。酒気帯びの有無に関して、音・色・数値などで確認可能なものであれば、特段性能上の要件は問わないとされています。
アルコール検知器にはいくつかの種類があり、価格帯の幅も広いことが特徴です。自社の予算や業務体系などを考慮して、適切なものを購入することが大切です。
どれが良いのか悩む場合は、センサーやタイプの違いを比較検討しましょう。主な違いは、下記のとおりです。
アルコール検知器の感知センサーは、測定原理の違いにより大きく分けて2種類あります。半導体式センサーと、電気化学式(燃料電池式)センサーです。
半導体式センサーは、センサーに付着する酸素にアルコール成分が反応し、センサー内部の電気抵抗値が変化する仕組みを利用しています。電気抵抗値が低いほど、アルコール濃度が高い判定です。
電気化学式センサーは、アルコールが燃料となり電気を発生する仕組みを利用します。電気発生量が多ければアルコール濃度が高い判定です。
業務体系によっては、ドライバーが毎回事業所に戻ってくる場合と、直行直帰や出張など事業所に戻れない場合とがあります。ドライバーがどこでアルコールチェックを実施するケースが多いかを考慮して、アルコール検知器を選ぶのも方法のひとつです。
直行直帰のシフトが多い場合は、軽量で持ち運びしやすい携帯型が向いています。一方、高精度な商品が多く不正を防げる据え置き型は、ドライバーが毎回同じ事業所に戻る場合におすすめです。
就業規則を変更し、アルコールチェック義務化について明記する場合、どのような方法で作成するかを決める必要があります。就業規則の作成方法は、自社で行う方法と社外に依頼する方法の2種類です。
それぞれの流れや注意点を押さえておきましょう。
自社で作成する場合、まず変更箇所を決め、変更案を取りまとめます。雇用形態の異なる従業員がいる場合は、どこまで適用するかを決めなくてはなりません。変更案がまとまったら、労働基準法を順守しているかどうかを確かめます。
次いで必要なのが、社内で確認・承認を受けることです。その後、労働基準監督署へ提出する就業規則変更届を作成します。変更点を分かりやすくするため、新旧対照表の作成もおすすめです。就業規則変更届に添付する意見書も作成します。最後に、日付の記入と署名捺印をしたら完了です。
自社作成が難しい場合は、社会保険労務士や弁護士などに依頼できます。社会保険労務士は、変更案の作成から最終的なチェックまで一連の流れを任せられるため安心です。
弁護士は、法律の専門家として労使間の訴訟問題に詳しい場合があります。企業法務に関わる弁護士と労働者側の弁護を得意とする弁護士がいるため、依頼する際は事前にきちんと確認しましょう。
社外への依頼は、手間や時間が省ける分、コストがかかることがデメリットです。
道路交通法施行規則の改正により、白ナンバー車両にも対象拡大したアルコールチェック義務化の中で、各ドライバーに対して行った検査記録の管理・保存は大切な業務です。
忙しい業務の中できちんと記録簿を管理するために役立つ「みんなのアルコールチェック」をぜひご活用ください。
義務化に対応した必要機能を搭載する「みんなのアルコールチェック」は、事業所の規模に合わせた最適なコストで導入できます。
料金は月額制となっており、当月の登録人数×200円で利用が可能です。初月は、無料で利用でき、最低契約期間はありません。初期費用をかけずに、登録後すぐに管理画面をチェックできます。
「みんなのアルコールチェック」は、スマートフォン・タブレット・パソコンからシンプルな操作で簡単にアルコールチェックの報告ができます。写真や動画での報告にも対応しているため、直行直帰など遠隔地での検査でも問題ありません。
アルコール検知器は手持ちの機種を利用でき、誰でも使いやすい設計です。報告した際の管理者へのメール通知、リアルタイムに報告結果を閲覧できる他、検査結果は1年間保存されます。
アルコールチェック義務化は、飲酒運転根絶のために重要な役割を果たします。道路交通法施行規則の改正案が施行された2022年4月以降、白ナンバー車両使用事業所も対象になりました。
アルコールチェックに関する就業規則に明記することは、業務上必要不可欠な検査との認識を高め、罰則規定を適用する上で大切です。義務化に対応した機能を搭載した「みんなのアルコールチェック」をぜひご利用ください。
参考情報
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https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/seido_0.pdf
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https://3rrr-btob.jp/archives/column/measuring-equipment/18353
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https://www.alcohol-check.jp/