飲酒運転撲滅への取り組みが強化されている日本国内では、黒・緑ナンバー事業者にのみ義務付けられていたアルコールチェックが、2022年4月以降、白ナンバー車両も対象となりました。機器不足を理由に使用義務が延期されていますが、アルコールチェッカーを使った確認も項目のひとつです。
では、酒気帯び運転の対策としてアルコールチェッカーを選ぶ際は、どのような違いに注目すれば良いのでしょうか。この記事では、吹き方や検知センサーの種類を解説します。
1.アルコールチェッカーの吹き方は測定方法で変わる
2.アルコールチェッカーのしくみ
3.アルコールチェッカーの精度は吹き方以外でも変わる
4.アルコールチェッカーを使うときの注意点
5.アルコールチェッカーはどう選ぶ?
6.アルコールチェックを行うときのポイントとは?
7.「みんなのアルコールチェック」で管理を効率化させよう
8.まとめ
アルコールチェッカー(アルコール検知器)は、息を吹き込むだけで体内に残留しているアルコール濃度を数値化する機器です。購入可能なアルコールチェッカーはいくつも種類があります。
種類ごとにそれぞれ特性があり、アルコール濃度の測定方法も異なることをご存じでしょうか。まずはアルコールチェッカーを購入するにあたって、種類ごとの特徴を把握しておきましょう。
呼気アルコール濃度測定方法は、痛みもなくどこでも実施可能なため、多くの事業所が利用している方法です。測定方法は吹き方によって、吹きかけ、ストロー、マウスピースの3種類に分けられます。
吹きかけるタイプは、アルコールチェッカー本体の吹き込み口に直接息を吹きかける方法です。ストロータイプは、機器にストローを差し込んで息を吹き込みます。息を逃がしにくく、周囲の影響を受けにくいため、精度の高い測定結果を得られることが特徴です。
そしてアルコールチェッカー専用マウスピースを使用する方法は、マウスピースを口にはさんで息を吹き込むので、ストロータイプ同様に高い精度が期待できます。
アルコールチェッカーは、製品ごとに吹きかける時間の長さが決まっています。例えば、機器の吹き込み口から約1センチメートル離し、4秒~5秒程度息を吹きかけ「ピピピ」と音が鳴ったら測定完了するといった方法で使用します。
約4秒間または5秒間と、明確に決まっている機器もあります。機器が指定している時間を守らなければ正しい判定結果が得られないので、使用する前に説明書をきちんと確認しましょう。
アルコールは体内に取り込むことから、呼気をチェックするだけで本当にアルコール濃度を測れるのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
手軽に自分で測定できるアルコールチェッカーですが、自分や近くにいる人が気付かないような、少量の残留アルコール濃度を検出する能力があります。ここではアルコールチェッカーのしくみをご紹介します。
アルコールを摂取すると胃や小腸で吸収した後、肝臓で分解が行われて処理されますが、分解できなかったアルコールは全身を巡り、再度肝臓に届けられます。その際、血液とともに移動するので、肺を通過したときのアルコールの一部が呼気となります。
アルコールチェッカーは感知センサーを内蔵しており、感知センサーにより呼気のアルコール濃度を測定できるしくみです。
アルコールチェッカーの感知センサーは、使用頻度に伴い劣化します。また、未使用の場合でも、空気中の汚れが付着している可能性はゼロではありません。日常点検として、損傷の有無や電源、反応などに異常がないかを確かめます。少しでも異常を感じたら、メーカーに問い合わせることに加え、定期的なメンテナンスが必要です。
例えば内部のクリーニングや部品の交換などのように、メンテナンス方法は使用回数や耐用年数、機器によっても異なるため取扱説明書などをよく読んで確かめましょう。メーカーによっては、提供しているメンテナンスサービスの利用を検討できます。
アルコールチェッカーを利用する際は、定められた吹き方や吹きかける時間を守る必要があります。正しく守らないと、きちんと測定できません。
さらに、高い精度を求めたい場合は、感知センサーの種類も考慮してみましょう。感知センサーは、半導体式と電気化学式の2種類があります。それぞれの特徴は下記のとおりです。
半導体式ガスセンサーは、センサー表面に付着する酸素量に応じて電気抵抗値が変化する特性を利用した測定方法です。体内にアルコールが残っていると、酸素量が減少し抵抗値が低くなります。
小型の半導体式ガスセンサーは比較的リーズナブルな価格で購入でき、測定時間が短いことがメリットです。家庭用・個人用として利用しやすいタイプの製品といえます。その反面、アルコール以外の成分に反応しやすいこと、劣化が早いことがデメリットです。
電気化学式センサーまたは燃料電池式センサーは、アルコールを燃料として発生する起電力の変化を利用した測定方法です。体内の残留アルコール濃度が多い人ほど、起電力が大きくなります。
アルコール以外の成分には反応しにくいため、優れた検知性能を期待できる他、耐久性が高いことがメリットです。密閉性が高く、食事や薬など外的影響を受けにくいといわれています。
一方、販売価格が高く、測定に時間がかかることがデメリットです。定期的なメンテナンスの際にかかるランニングコストも高い傾向があります。
どのアルコールチェッカーを使用するとしても、覚えておきたい注意点があります。ポイントを押さえておかなければ、飲んでいないのにアルコール反応が出てしまうといった誤判定に戸惑うことにもつながりかねません。誤解を招かないためにも、事前に注意点を把握しておきましょう。
検知器は、直前に摂取した飲食物の影響を受ける場合があります。奈良漬などアルコール成分が含まれている食品は、特に注意が必要です。
他にも、キシリトール・メントールを含んだあめやガム、プリン、キャラメルなどの香料が反応するケースもあります。まれに、栄養ドリンクなどでも微量に含まれたアルコールに反応することがあるため注意しましょう。
アルコールを含んだ食品は口にしないことが大切ですが、その他の要素で正しい判定結果が得られない可能性も考えられます。誤判定への対策としては飲食後少し時間を置いて測定したり、測定直前にはうがいをしたり、水や白湯を飲んだりすると良いといわれています。
飲食以外では、喫煙の影響を受ける可能性があります。自分がタバコを吸っていなくても、周囲に臭いがある場所で測定した際に反応したケースもあるため注意が必要です。オーラルケア製品も、アルコール反応を示すことがあります。喫煙やオーラルケアに心当たりがある場合は、20分程度経過後うがいしてから測定しましょう。
また、アルコールチェッカーのセンサーモジュールを掃除用クリーナー・消臭剤・芳香剤など、アルコール成分を含んだ製品と一緒に保管している場合にも誤作動の可能性があります。
黒・緑ナンバー車両を保有する事業所だけでなく、白ナンバー車両保有事業者にもアルコールチェックの義務化が拡大したことを受け、数多くのアルコールチェッカーを目にするようになりました。
数あるアルコールチェッカーから、どのような基準で選べば良いのでしょうか。使いやすさやJ-BAC認定機器などを基準にして選ぶ事業者が多い傾向です。具体的な選び方を紹介します。
使いやすさを基準にする際は、実務状況に合わせて携帯型と据え置き型(設置型)どちらかを選びましょう。携帯型は、小型で持ち運びが便利な上、販売価格が低めの設定です。長距離ドライバーが多い運送会社や直行直帰のシフトが多い職場で利用しています。
据え置き型(設置型)は、営業所に置くタイプです。大抵の場合、パソコンなど外部機器の接続に対応しています。メンテナンス性や耐久性に優れていることがメリットです。ドライバーが毎回営業所に出勤する体制の事業所で多く利用しています。
勤務体制や管理方法に合わせて、使いやすいアルコールチェッカーを選ぶようにしましょう。携帯型と据え置き型を併用している事業所も多くあります。パソコンで保存する場合は、管理システムと連携できる機種を選ぶと便利です。
測定精度の高さを重視する際は、J-BAC(アルコール検知器協議会)認定機器を選ぶと安心につながります。J-BACは、行政機関とも連携・協議をして飲酒運転根絶に取り組む公的団体です。
認定を受けるためには、アルコール検知器検定販売ガイドラインおよび技術要件の基準点を満たしており、必要な申請書類が全てそろっていなければなりません。そのため、高性能が期待できます。認定機器は、J-BACおよび販売メーカーのホームページで確認が可能です。
アルコールチェックの義務化に関する詳細要件は、国土交通省や警察庁のホームページで確認が可能です。きちんと要件に準じたアルコールチェックを実施しなければ、罰則を受ける結果につながるため注意しましょう。
主な注意ポイントは、チェックするタイミングと保存すべき記録項目です。
アルコールチェックは、運転を含む業務開始前または出勤時、および業務終了後または退勤時に実施する必要があります。必ずしも毎回の運転直前・直後に都度実施する必要はありません。
原則として、安全運転管理者が目視などで確認します。しかし、直行直帰など安全運転管理者が対面で目視できない場合は、カメラやモニターなど別の方法で確認が可能です。
2022年4月にアルコールチェックの義務化が白ナンバー車両保有事業者へ拡大すると同時に、記録保存義務も発生しています。アルコールチェックを実施した際に確認事項を記録し、1年間保存しておかなければなりません。
記録しなければならない項目は、確認者や運転者の名前、運転業務に係る自動車登録番号または識別番号です。他にも、確認日時、アルコールチェッカー使用の有無を含む確認方法を記載します。対面でない場合は、具体的な実施方法を記載しなければなりません。
大切な項目として、酒気帯びの有無や指示事項もありますので、自社の実務状況に合わせて残しておいたほうが良い情報も記録しておきましょう。
業務上、車両の運転を毎日行っている事業所では、1日2回実施するアルコールチェック業務が負担になりかねません。可能な限り、アルコールチェックに関わる管理業務を効率化するために便利なツールを活用しましょう。
ここでは、アルコールチェックに特化した機能をリーズナブルな価格で導入できるORSO開発の「みんなのアルコールチェック」についてご紹介します。
みんなのアルコールチェックでは、アルコールチェック結果をスマートフォンやパソコン、タブレットから簡単に報告できます。また、直行直帰時など事業所に行けない場合には、カメラの写真や動画を利用して測定結果を報告可能です。
測定結果の記録は、自動で1年間保存できます。保存記録は、CSV出力が可能です。報告時には、管理者にメール通知があります。報告率が高く、管理工数が少ないことは、管理者側にとっては大きなメリットです。
管理サービスを利用する際、資料請求や問い合わせからのスタートにハードルが高く感じたことはないでしょうか。みんなのアルコールチェックなら、無料お試し期間を設けており、すぐに管理画面を見られます。初期費用をかけずに、実際の使用イメージをしやすいことがメリットです。
また、1ユーザーにつき200円で利用できます。アルコールチェックの義務化対応に必要な機能のみに特化して実装しているため、リーズナブルな価格でご利用いただけます。
2023年5月現在、白ナンバー車両保有事業所でのアルコールチェッカー使用義務化は延期しています。しかし機器不足が解消されるタイミングでの義務化の導入が見込まれているため、早めにアルコールチェッカーや機器を使った確認の管理体制を準備しておきましょう。
アルコールチェッカーを購入する際は、吹き方や感知センサーの種類を考慮に入れつつ、使いやすい機器を選びます。みんなのアルコールチェックは、アルコールチェッカーの種類にかかわらず利用が可能ですので、管理体制を整える際にぜひご活用ください。
参考情報