2022年4月以降、白ナンバー車両保有事業者がアルコールチェックの義務化対象となりました。それまでは黒・緑ナンバーの運送事業者のみが義務化の対象であったことから、今回の改正で対象範囲が拡大しています。
痛ましい事故を防止するためにも正しい方法でアルコールチェックを行い、飲酒運転根絶を目指しましょう。この記事では、義務化の対象範囲が広がったアルコールチェックの運用方法や、取り組むときのポイントをご紹介します。
1.アルコールチェックの記録データの運用方法は3通りある
2.アルコールチェックの運用方法
3.義務化されたアルコールチェックに取り組むときのポイント
4.アルコールチェックの検知器選びも運用方法に合わせよう
5.みんなのアルコールチェックを使って記録を管理しよう
6.まとめ
2022年4月施行の道路交通法改正以降、白ナンバー車両を運転するドライバーも、運転業務開始前後または出勤・退勤時にアルコールチェックを実施することが義務付けられました。
加えて、安全運転管理者を選任し、チェックを行った際の記録を1年間保存しなくてはなりません。記録データの運用方法は、大きく分けて3通りあります。
アルコールチェック記録簿の保存にあたって、記録簿の様式や運用方法に関する明確な決まりはありません。各事業所の規模や実状に合わせて、効率的に運用できる方法を選びましょう。
チェックを行う際に最も始めやすい記録方法は、紙媒体での管理ではないでしょうか。紙とペンがあればすぐに始められるので、少ないコストで導入できます。
パソコンに詳しくない人でも記録簿できるメリットがありますが、保管場所の確保が必要となる他、改ざんのリスクもあります。出張や直行直帰など対面での測定が難しい場合、管理者・ドライバー双方の業務負担が増えることがデメリットです。
パソコンを使い慣れている場合、Excelで専用シートを作って管理することも可能です。いつも使っているツールを使用するため導入のハードルも低く、紙媒体に比べて処理や分析をしやすいことがメリットです。
しかしExcelは、1シートあたりの最大行数が決まっています。アルコールチェックはドライバー1人につき1日2回実施する必要があり、ドライバーが多い事業所はデータ量が膨大です。
記録データは1年間保存しなければならないため、データ容量が圧迫してしまう可能性や複数のシートを管理しなければならないケースも考えられます。加えて、同時編集している場合に相手の情報をリアルタイムで確認できないことや、情報更新時のタイムラグ発生もデメリットです。
近年はオンライン化も進んでいることから、アルコールチェックの記録データが扱えるクラウド管理サービスがあります。パソコンやスマホなどの普段使用している端末から利用できるツールであれば、導入もしやすく感じられるでしょう。
クラウド管理のメリットは、アルコールチェック記録の一元管理が可能なことや、遠隔地でも簡単に検知データを報告および確認が可能なことです。直行直帰や出張時など、事業所以外の場所でアルコールチェックを行う場合にも対応しやすくなります。
加えて、データ改ざんや紛失を防ぐという面でも優れていますが、クラウド管理サービスの種類によって価格は異なるため、コストが高くかかる場合もあることがデメリットです。
道路交通法の改正によって新たにアルコールチェック義務化対象となったのは、乗車定員11人以上の車両1台以上、またはその他自動車5台以上を保有している事業所です。なお、原動機付自転車を除く自動二輪車は1台を0.5台として数えます。
義務化の対象となった場合のアルコールチェックの運用方法には、「安全運転管理者の選任」「アルコールチェック」「記録と保管」の3つの流れがあります。
対象事業所でのアルコールチェックは、選任した安全運転管理者が実施する必要があります。対象の各事業所は、安全運転管理者を選任しなければなりません。保有車両台数が20台以上の場合は、20台増すごとに副安全運転管理者を1人選任する必要があります。
安全運転管理者の業務詳細は、下記を参照してください。
・ドライバーの状況把握
・安全運転を確保するための運行計画書作成
・長距離や夜間運転時における交代要員の配置
・異常気象時などの安全確保措置
・点呼などによる過労や病気その他正常な運転が可能かどうかの確認と必要な指示
・運転者の酒気帯びに関する確認
・酒気帯びに関する確認内容の記録および保存
・運転日誌の備え付けと記録
・ドライバーへの安全運転指導
アルコールチェックは、基本的に対面で行います。ドライバーの「呼気の臭い」「顔色」「声色と調子」などの目視での確認が必要です。出張や直行直帰のような対面でのチェックが難しい場合は、カメラ・モニターなどでドライバーの顔色、声の調子を確認します。
携帯電話や業務無線などを利用してドライバーと直接対話し、応答時の声が普段と変わらないかなどを確かめることが必要です。アルコール検知器があれば、検知器を利用して測定し、数値を記録します。
安全運転管理者の不在時は、副安全運転管理者または安全運転管理者業務の補助者によるアルコールチェックも可能です。
アルコールチェックを行った後は、チェック内容を記録しデータを保管します。チェックを行う際の体制だけでなく、記録する項目にも規定があるため事前に確認しておきましょう。記録し保存しなければならない項目には、確認者名、ドライバー名、運転業務に係る車両の自動車登録番号または識別記号や番号などがあります。
また、確認日時・確認方法の記載も必要です。確認方法の項目には、アルコール検知器使用の有無、対面でない場合は具体的な方法を記載します。他にも、酒気帯びの有無や指示項目、実務に応じたその他必要な事項も記録・保存を行う項目です。
記録簿の様式や保存形式の種類は自由に決められますが、どの形式を選ぶ場合も1年間の保管が必要です。
義務化へ対応するためには日々のアルコールチェックが欠かせませんが、効率的に運用するためにはどうすれば良いのでしょうか。アルコールチェックは単なる形式的な作業ではなく、飲酒運転根絶のために真剣に取り組みたい業務です。
飲酒運転は事業所のアルコールチェック体制を整えるだけではなく、運転するドライバーの認識を改めることも大切です。
近年、社内のコンプライアンス強化に取り組んでいる企業は増加傾向です。例えば、社員全員が安全対策への危機感を強化すべく、社内会議や通達事項を高い頻度で実施している企業があります。
飲酒運転による事故を起こした場合のリスクを話し合うとイメージが伝わりやすくなるのではないでしょうか。相手のけがや車両の損失、ドライバー本人のダメージを考えるよう促します。企業のイメージ低下に加え、取引先からの信頼を失い事業の存続危機にもつながる可能性など、危機感を伝えることもひとつの方法です。
飲酒運転との判断基準は、呼気1リットル中のアルコール量が0.15ミリグラム以上です。0.15ミリグラム未満であれば、飲酒運転としての検挙はありません。ただし、道路交通法第65条には『何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。』と定められています。
基準値以下であっても、アルコールが検出されたら厳密には酒気を帯びている状態です。体内にアルコールが残留している場合は、注意力が低下し、事故の可能性が高くなります。「違反にはならない」と安易な気持ちで運転しないように十分注意しましょう。
2022年4月以前に義務化されていたアルコールチェックは、黒や緑ナンバーの営業車両が対象でした。運送事業者には、アルコール検知器の使用も義務付けられています。
では、改正によって義務化の対象が拡大した白ナンバー車両にもアルコール検知器の使用義務はあるのでしょうか。
道路交通法が改正した2022年4月時点では、同年10月以降、アルコール検知器の使用義務化が決まっていました。しかし、アルコール検知器の需要に対して供給が追いつかない状況を考慮し、延期が続いています。
アルコール検知器の製造業界からの意見書によると、供給不足の原因は、半導体不足やコロナ禍に生じた物流停滞の影響などです。
警察庁は、流通状況が安定すれば早期にアルコール検知器使用義務化する考えを発表しています。いつ義務化しても良いように事前に準備を始めておきましょう。
アルコール検知器の性能は『酒気帯びの有無を音、色、数値等により確認できるものであれば足り、特段の性能上の要件は問わないものとする。』と規定があります。基本的な機能を搭載しているアルコール検知器であれば、種類や性能に指定はありません。
アルコール検知器には、携帯型と据え置き型があります。直行直帰や出張が多い場合には携帯型、ドライバーが毎回同じ事業所に戻る場合には据え置き型など、事業所の規模や実務状況などに合わせて使いやすいタイプを選びましょう。
また、同じタイプであっても製品ごとに使い方やメンテナンス方法も異なるため、使用前には取扱説明書をよく確認することが大切です。
アルコールチェック義務化の効率的な運用方法を考えているのであれば、ORSO開発の「みんなのアルコールチェック」がおすすめです。
みんなのアルコールチェックには無料のお試し期間があり、その後も低価格でご利用いただけます。普段利用している端末から操作できるので、導入しやすいツールです。
みんなのアルコールチェックでは、アルコールチェックの結果をスマホやパソコンから簡単に報告でき、管理者はリアルタイムに報告結果を閲覧可能です。報告した際は、管理者にメール通知が届くように設定が行えます。
ドライバーの人数が多くてもそれぞれの端末から報告結果が送信できるので、データの回収がスムーズに行えます。測定結果は自動的に1年間保存となり、CSV出力でダウンロードいただけます。データファイルなので長期保管する際も紙媒体のように保管場所に困りにくく、スマートな管理が可能です。
みんなのアルコールチェックは、写真・動画での報告にも対応しています。スマホのカメラで測定結果を撮影し、すぐに提出が可能です。出張や直行直帰など、出先でのアルコールチェックが多い事業所でも役立ちます。
また、データは一元管理でき、管理者ごとに閲覧範囲の設定も行えます。担当の部署ごとに閲覧可能な状態にするなど、利用人数が多い場合の管理体制も整えやすくなっています。
運送事業者でなくても、社用車を保有している事業所は国内に数多くあります。一定台数以上保有している事業所では、白ナンバー車両であってもアルコールチェック義務化の対象です。基本的な運用方法を把握し、適切な体制で記録や管理を実施しましょう。
ORSO開発のみんなのアルコールチェックは、義務化に対応できる機能を備えています。無料お試し期間をお気軽にご利用ください。
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