飲酒運転事故撲滅を図るべく、2022年4月1日以降、アルコールチェックの義務化対象となる事業所等の範囲が拡大されました。黒や緑ナンバー車両ではすでに義務化されていたアルコールチェックを、白ナンバー車両にまで拡大する法改正です。
当初、アルコール検知器の使用義務化も盛り込まれていましたが、現在は延期されています。ではなぜ延期されることになったのでしょうか。この記事では延期の理由とともに、今対象事業者がすべきことを解説します。この機会に、アルコールチェック方法の理解を深めておきましょう。
1.アルコールチェックで検知器使用の義務化が延期!
2.検知器の使用が延期されている間にやっておきたいこと
3.アルコールチェックはすでに義務化されている
4.義務化されたアルコールチェックの内容
5.アルコールチェックは記録簿の作成が義務化されている
6.「みんなのアルコールチェック」で義務化に素早く対応しよう
7.まとめ
2021年の道路交通法施行規則改正により、白ナンバー車両保有事業者に対象拡大したアルコールチェックの義務化には、検知器でのチェックも含まれる予定でした。
しかし、2023年4月現在、検知器使用の義務化は延期されています。そこで、延期された理由や今後義務化される可能性があるのかについて現時点で分かっている情報をご紹介します。
改正された道路交通法施行規則では、安全運転管理者に対しアルコール検知器を常時有効に保持すべきことを義務付ける規定が2022年10月1日から施行されることになっていました。しかし、警察庁は2022年7月15日に「当分の間アルコール検知器使用義務化規定を適用しない」という考えを発表しています。
そのため、検知器の使用義務化は中止ではなく延期となっている状態です。また「当分の間」とあるように、現時点では具体的な時期が示されていませんが、検知器の供給のめどが立てば使用義務化が改めて発表されるでしょう。
延期の理由に関して警察庁は、アルコール検知器の需要増加に対する供給不足を挙げています。検知器を製造・販売する業界が、半導体不足やコロナ禍の物流停滞などにより、2022年10月1日まで十分な数量の供給が不可能なことを記載した意見書を警察庁に提出したことも決定要素です。
対象事業者の安全運転管理者に対するアンケートでも「必要台数の全てを入手済」との回答は、4割に届きませんでした。このように法律施行日までに準備および導入が間に合わない状況を考慮した延期措置となっていて、供給の見通しが立った時点で再度検知器使用の義務化が検討される予定です。
法改正に伴いアルコールチェック義務化対象となった事業者側にとっては、アルコール検知器の必要台数確保を当面急がずに済んだため、準備を行うスケジュールにゆとりができたのではないでしょうか。検知器使用の義務化が再度発表される前に、行うべきことを整理しておきましょう。
延期理由が供給不足であれば、安定した供給を確保できるようになった時点から義務化が実施される可能性が高いと考えられます。現在、コロナ禍で実施されていた制約が緩和されてきました。
延期が終わるタイミングを見逃してしまわないように、警察庁からの発表を小まめに確認するようにしましょう。テレビやインターネットのニュースなどから、定期的な情報収集を行うと良いでしょう。
検知器の義務化実施がいつ発表されても対応できるように、今の間に検知器の必要台数を確保しておくことが大切です。延期終了を迎えることが発表されると、業者への発注が集中するケースも考えられます。必要台数が多い場合は特に、少しずつ買いそろえておきましょう。
また、アルコール検知器の使用が延期されている間に、管理体制を見直すことも重要です。チェック時の作業を効率化しておくことで、導入後もスムーズな管理が目指せるでしょう。
現在アルコール検知器使用の義務化が延期されている対象車両は、白ナンバー車両です。黒および緑ナンバー車両などの運送事業者に対しては、2011年5月1日以降、すでにアルコール検知器を用いたチェック方法が義務付けられています。
道路交通法施行規則の改正により対象となる事業所や罰則規定などを、再度確認しておきましょう。
2022年4月1日以降新たに対象になった事業所とは、乗車定員11名以上(マイクロバス)の車両1台以上、またはその他車両5台以上保有している会社を指します。複数のバイクを営業などで使用している事業所等も対象で、大型自動二輪車・普通自動二輪車は、各1台を0.5台と計算します。50cc以下の原動機付自転車は含まれません。
対象事業所は、安全運転管理者を選定する必要があります。保有車両台数が20台以上40台未満であれば副安全運転管理者を1名、40台以上の場合は20台増すごとにさらに1名の選任が必要です。
安全運転管理者を選任したら、15日以内に各都道府県公安委員会に届け出る必要があります。安全運転管理者の年齢や運転管理経験など、細かく規定されているため基準を満たす人材を選定しましょう。
もし、安全運転管理者の選任義務に違反していることが判明した場合は、罰則規定が設けられています。従来は5万円以下の罰金でしたが、2022年10月1日以降は、改正された道路交通法に基づき、50万円以下の罰金が課されます。
どのようにアルコールチェックを実施すべきかについては、警察庁ホームページなどに記載されています。正しい情報を確認して、定められたルールを守りましょう。
アルコールチェックは、一連の業務開始前、終了後、出勤時、退勤時などのタイミングで実施します。確認方法や記録の保管に関する規定も覚えておきましょう。
アルコールチェックは、対面での目視確認が原則です。目視により、ドライバーの顔色・呼気の臭い・応答時の声などが、通常と比較して変わりがないかを確かめます。安全運転管理者が不在で対応できない場合は、副安全運転管理者または安全運転業務補助者がチェックを実施可能です。
直行直帰などで対面でのチェックが難しいケースがあります。その場合は、カメラやモニターなどを利用して、ドライバーの顔色や挙動のチェックが可能です。また、携帯電話や業務無線を使えば直接対話をして声の調子や反応を確かめられます。
アルコールチェックは、ドライバー人数分のチェック記録を作成し、1年間保管しておくことが義務付けられています。ドライバーや保有車両が多い大規模事業所では、記録が膨大になることが予想されますが、きちんと守ることが必要です。
また、アルコールチェックの対象者となる人数が増えれば増えるほど、1年間の記録データの量も大きくなります。どのような方法で記録を保管するかによって保管のしやすさも変わるでしょう。
1年間保管するアルコールチェックの記録は、定められた項目を確認したことが分かる記録簿として管理します。警察庁ホームページでは、白ナンバー車両保有事業者に対象拡大したアルコールチェック義務化に関する道路交通法施行規則改正情報の確認が可能です。
記録簿を作成する上で必要な項目も記載されていますが、記録簿のフォーマットは規定されていないため、自社の状況に合わせて作成しましょう。
アルコールチェック記録簿に記載する必要項目は、下記のとおりです。
・確認者名
・ドライバー名
・運転業務に係る車両の自動車登録番号または識別できる記号や番号など
・確認した日付
・酒気帯び運転の有無
・チェック方法(アルコール検知器の有無や対面でない場合の具体的な方法)
・指示事項
事業内容などで必要な項目を追加記入できます。事業所によっては、下記項目のような情報を追加しておくと後から役立つ可能性があります。
・アルコールチェック実施場所
・ドライバーの運転免許証有効期限
・ドライバーの健康状態
・運行時の天候状況
アルコールチェック記録簿は、フォーマットだけでなく、管理方法も細かく規定されていません。管理方法は、大まかに分けると紙媒体・パソコン内・クラウド上の3種類に分けられます。
これらの方法から各事業所で利用しやすい方法を選択可能ですが、それぞれのメリット・デメリットを把握して選ばなければ時間が経ってから不便に感じることがあるかもしれません。
例えば紙媒体は簡単で利用しやすいものの、保管場所の確保が難しいケースがあります。加えて、紛失や改ざんのリスクが高いため、あまりおすすめする管理方法ではありません。
パソコン内やクラウド上に保管する方法は、データの物理的な保管場所に困りにくいですが、パソコン操作に不慣れの場合、苦手意識が先行する場合があります。クラウド管理できるツールの中には直感的に操作できるサービスもあるので、そのような管理ツールを使用するのも方法のひとつです。
アルコールチェック記録簿の作成にあたって、便利で手軽にできる管理ツールをお探しの方におすすめなのは、ORSO開発の「みんなのアルコールチェック」です。
パソコン・スマホ・タブレットから利用でき、iOSにもAndroidにも対応しているので使い慣れた端末でご利用いただけます。
「みんなのアルコールチェック」は、義務化対応に必要な機能を搭載したアルコールチェックツールです。アルコールチェックの結果報告や運転日誌の記録、直行直帰時に活用できる写真や動画での報告への対応など、アルコールチェックの義務化に対応するために必要な機能を備えています。
一方でアルコールチェックの義務化に必要な機能のみなので、シンプルにお使いいただけます。アルコール検知器を導入する際も市販の商品が使用可能です。
管理ツールは、初めての利用時は資料のダウンロードからのスタートが一般的ですが、「みんなのアルコールチェック」は無料お試し期間があり、必要事項を入力後すぐに管理画面を閲覧できます。
アルコールチェックに必要な機能のみのシンプルな設計にすることで低コストを実現しており、無料トライアル後も初期費用なしユーザー200円でお使いいただくことが可能です。記録したデータは1年間保存され、CSV出力にも対応しているのでデータの管理も可能です。
飲酒事故による痛ましい事故は、被害者・加害者双方にとって大きなダメージとなります。飲酒運転事故撲滅を目指し、アルコールチェック義務化の対象範囲が、2022年4月1日以降白ナンバー車両にも拡大しました。当面の間、検知器の使用義務化は延期されています。
今のうちに義務化による煩雑な業務を解消し、スムーズな管理体制を確立するために、ORSO開発の便利なアルコールチェックツールをお役立てください。
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