痛ましい飲酒運転による交通事故根絶を目指し、さまざまな取り組みがなされています。2011年5月以降黒・緑ナンバー(事業用自動車)に対して義務化されていたアルコールチェックが、2022年4月より白ナンバー(自家用車)も対象となりました。
対象事業者の条件や安全運転管理者の選任基準は、どのようなものでしょうか。アルコール検知器使用に関する今後の対応も合わせて解説します。スムーズに導入できるよう事前に確認しておきましょう。
1.白ナンバーのアルコールチェックはいつから義務化された?
2.白ナンバーのアルコールチェックが義務化された経緯
3.義務化された白ナンバーのアルコールチェックのやり方とは?
4.アルコール検知器の準備をしよう
5.「みんなのアルコールチェック」は記録の管理に最適
6.まとめ
交通事故の中でも死亡事故につながりやすいといわれているのは、飲酒運転です。痛ましい事故を少しでも減らすべく、2021年の道路交通法施行規則の改正により、これまでアルコールチェックの対象外だった白ナンバー車両も、検査の対象になることが決まりました。
2022年4月以降に施行され、新たに対象となった白ナンバー車両に関する基礎知識をおさらいしましょう。
どの自動車にも、ナンバープレート(自動車登録番号標)が付いており、車両の種類や用途により色分けされています。運送事業者の事業用車両には緑ナンバー(軽自動車には黒ナンバー)が付けられています。
一方、自家用車には白ナンバーを取り付けます。仕事で使用していても有償で人や荷物を運ばない営業車・社用車は、自家用車と同じ白ナンバー(軽自動車は黄色ナンバー)です。この記事ではまとめて白ナンバーとして紹介します。
飲酒運転が原因となっている重大事故が後を絶たないため、2021年11月に道路交通法施行規則の改正が公布されました。白ナンバー(自家用車)の飲酒運転防止対策強化が目的で、翌年2022年4月に施行されました。
従来、事業用車のみ対象だったアルコールチェックの義務化が、法改正により自家用車の白ナンバーにも対象拡大しています。運転者の状態を業務開始前および終了後に、目視などで酒気帯びの有無を確認しなければなりません。加えて、1年間チェック記録の保存が必要です。義務化のため、罰則規定もあります。
2021年に道路交通法施行規則が改正された当初は、2022年10月よりアルコール検知器の使用も義務化される予定でした。しかし、アルコール検知器に使われている半導体不足の影響から、義務化が延期されています。
警察庁は2023年6月、半導体不足が改善しアルコール検知器の安定的な生産・供給が可能な状況にあること、準備期間を考慮しても2023年12月からアルコール検知器の使用義務化を開始できることを発表しました。2023年7月8日まで行うパブリックコメントの結果を受け、方針を決定します。
黒や緑ナンバーの事業用自動車に対しては、2011年5月以降アルコールチェックが義務化されています。今回、白ナンバーにもアルコールチェックの義務化対象が拡大した経緯とはどのようなものでしょうか。
義務化の対象拡大に至った背景をきちんと把握し、飲酒運転根絶に対する意識を高めましょう。
飲酒運転を原因とする交通事故が大きな社会問題として注目を浴びたのは、2006年に福岡県で幼児3人が死亡した事故といわれています。その後、飲酒運転に対して厳罰化や行政処分強化などの取り組みが行われてきました。
しかし、飲酒運転による悲惨な交通事故は後を絶たず、2021年6月には千葉県八街市で飲酒運転のトラックが児童5人を死傷させた事故が起きています。2022年4月施行の道路交通法施行規則は、その事故が発端です。飲酒運転による事故を根絶するべく、アルコールチェック義務化の対象が拡大されました。
アルコールチェック義務化の対象車両拡大だけでなく、飲酒運転に関する行政処分および罰則も強化しています。主な行政処分として、酒酔い運転は基礎点数35点、免許取り消し(欠格期間3年)です。酒気帯び運転は、基礎点数13点~25点、免許停止(90日)、免許取り消し(欠格期間2年)の処分を受けます。
酒酔い運転の罰則は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。酒気帯び運転の場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。車両の提供者および酒類の提供者・同乗者にも罰則があり、運転者本人だけの問題ではない点を覚えておきましょう。
2022年4月より白ナンバー車両にも対象範囲を拡大した、アルコールチェック義務化の概要をおさらいしましょう。対象事業所の条件および安全運転管理者の業務内容を解説します。安全運転責任者に関しては、選任義務違反への罰則も強化されているため注意が必要です。
道路交通法施行規則の改正によりアルコールチェック義務化の対象になっている事業所とは、乗車定員11人以上の自動車を1台以上使用する事業所、またはその他の自動車を5台以上使用する事業所です。自家用車登録した自動車で、車種や車両用途は問いません。
その他の自動車には、黄色ナンバーの軽自動車も含まれます。大型自動二輪車・普通自動二輪車は、1台につき0.5台として計算します。原動機付自転車は含まれません。
アルコールチェック義務化の対象事業所では、安全運転管理者を1人選任することも義務付けられています。自動車の使用台数が20台以上の場合は、20台ごとに1人ずつ副安全運転管理者の選任が必要です。
安全運転管理者は、20歳以上(副安全運転管理者がいる事業所では30歳以上)で、自動車運転管理の実務を2年以上経験していなければなりません。副安全運転管理者は、20歳以上で実務経験1年以上が選任基準です。主な業務内容は、下記を参照してください。
【業務内容】
・運行計画の作成
・交代要員の配置
・異常気象時の措置
・運転者の過労や病気などに関する確認と指示
・運転者の酒気帯びに関する確認と記録保存
・運転日誌の記録
・安全運転指導
アルコールチェックは、運転者の業務開始前後に行います。原則として、目視などによる対面でのチェックが必要です。対面が難しい場合は、カメラやモニターなど準ずる方法でチェックします。必要な検査項目および記録すべき項目は、下記のとおりです。
【検査項目】
・顔色
・呼気の臭い
・応答している声の調子など
【記録すべき項目】
・確認者名
・対象の運転者
・運転業務に係る車両ナンバーまたは識別番号
・確認日時
・確認方法(アルコール検知器使用の有無や非対面時の具体的な確認方法)
・酒気帯びの有無
・指示事項
・その他
アルコールチェック後は、毎回検査結果を記録しておかなければなりません。記録簿は1年間の保存が義務付けられています。
2023年6月現在、アルコール検知器の使用は義務付けられていません。しかし、アルコール検知器の安定的な生産状況が見込まれていることから、2023年12月より施行される予定です。
スムーズな導入に向けて、今のうちに準備を始めてください。アルコール検知器には、種類がいくつかあります。安価なものは精度が保証されていない機器もあるため、注意が必要です。主なポイントを押さえておきましょう。
道路交通法施行規則の第9条の10には、アルコール検知器を「呼気に含まれるアルコールを検知する機器であつて、国家公安委員会が定めるものをいう」と記されています。
国家公安委員会の規定に合うアルコール検知器は、呼気中に残留しているアルコールを検知し、その有無または濃度を警告音・警告灯・数値などにより示す機能を有する機器です。酒気帯びの有無を音・色・数値などで確認できる機器であれば、自由に種類を選べます。
アルコール検知器には、据え置きタイプと持ち運びが可能なハンディタイプがあります。出張や直行直帰のシフトが多い事業所では、ハンディタイプを運転者に支給しているケースが多い傾向です。
機能面や管理面などにより、いくつか種類があります。センサーは、電気化学式/燃料電池式と半導体式の2種類です。電気化学式/燃料電池式のメリットは、高い精度や安定したセンサー感度ですが、価格が高めで測定時間が長いことがデメリットといわれています。
一方、半導体式は価格が安く、測定時間が短いことがメリットです。アルコール以外の薬や体質に依存する呼気ガスに反応する可能性があることや、センサーの劣化が早いことがデメリットです。
測定方法の種類は、吹きかけ式・ストロー式・マウスピース式の3タイプです。状況や条件に合わせて選びましょう。
アルコールチェックの義務化が白ナンバー車両を使用している事業所に対象拡大したことを受け、業務の負担が大きくなったと感じている管理者様もいるのではないでしょうか。可能な限り業務負担を減らすために、便利なアルコールチェックツールを活用してみましょう。ORSOの「みんなのアルコールチェック」がおすすめです。
「みんなのアルコールチェック」では、アルコール検知器による検査結果をスマートフォン、タブレット、パソコンから簡単に報告が可能です。時間や場所に縛られずいつでもチェックを実施できる他、管理者にメールで結果を通知する機能もあります。
直行直帰時には、写真や動画による報告にも対応が可能です。運転日誌も記録でき、測定結果の記録は1年間保存ができます。シンプル操作で、誰でも使いやすい設計です。
シンプル設計の「みんなのアルコールチェック」は、義務化への対応に必要な機能のみに特化しているため、低価格を実現しています。初月無料で、申し込み後すぐに利用が可能です。無料期間中に解約する場合は、料金は一切かかりません。
所定のフォームより無料トライアル申し込み後、必要事項を入力して登録が完了すると、管理画面を確認できます。無料期間後は、1ユーザー当たり200円(税込)の月額制です。登録人数は、各月の最大登録人数で計算されます。低コストで、アルコールチェック記録の保管・管理が可能です。
飲酒運転根絶を目指し、厳罰化や行政処分強化などさまざまな取り組みが行われているものの、飲酒運転による重大事故の撲滅には至っていません。2022年4月以降、自家用車登録の白ナンバー車両もアルコールチェック義務化の対象となっています。
1日2回業務開始前後に行うアルコールチェックは、運転者ごとに記録簿を作成し、1年間保存・管理しなければなりません。少しでも負担を減らすために、便利な「みんなのアルコールチェック」をご活用ください。
参考情報
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335M50000002060
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335M50000002060_20230401_504M60000002067
https://mobility-service.pioneer.jp/contents/alcohol-check-how-to-choose/
https://www.airia.or.jp/info/number/01.html
https://www.alcohol-check.jp/
https://www.dnp.co.jp/biz/column/detail/10162656_2781.html
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/torikumi/drm_top.files/qa.pdf
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/20211110tuutatu_1.pdf
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/20220909tuutatu.pdf
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/seido_0.pdf
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/img/ankanleaflet.pdf
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/info.html
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/info.html
https://www.npa.go.jp/news/release/2023/02_sankou.pdf
https://www.police.pref.wakayama.lg.jp/02_koutsu/oshirase/ankankenty/documents/qanda.pdf
https://www.pref.iwate.jp/kenkei/oshirase/kotsu/3001168.html